#06:当社の内装材
写真は当社で扱っている内装材です。
一番上の黒い大きな断面のものは以前書いた千葉県産の山武(さんぶ)スギの枕木で、片側に大きな割れが入ったため別にしておいたものです。多少、ネジレもありますが、2面には節が無いので製材し直せば何か取れるだろうと倉庫に置いてあったのですが、来社した建設会社の社長様と設計担当者様がこの材を見て、「こんなに黒いスギは見たことが無い。玄関の上がり框なら2面しか見えないから使ってみたい」と言うことになり、これから再製材して納品する予定です。
これは、たまたま取れたもので、芯持ちでありながら2面に節が無い、しかも黒芯材など、取ろうと思って取れるものではありません。つまり、当社の取扱商品には加えられない木材です。
その下に積まれているのが、その住宅に使用するフローリングと羽目板で、これから加工するものもあります。
通常、販売されているフローリング板は厚さが15ミリのものが一般的ですが、今回は厚さ27ミリでという特注品です。さすがに2倍近い厚みがあると、横から見ても迫力があります。もっとも、床に張ってしまえば厚みは分からなくなってしまうのですが…。
大手内装材メーカーの商品を仕入れて販売するのでは、特注で作ってもらうわけには行きませんが、当社の場合、製材品を仕入れてそれを低温乾燥させ、それで内装材を作って販売しているので、厚み等はお客様の要望に答えることが出来ます。
乾きにくい山武スギを低温乾燥機「愛工房」で乾かし、木の香りや有効成分を残した本物の内装材を作るだけではなく、お客様の要求を納める品物に反映できるというのも、当社の強みだと思っています。
#05:建具材の乾燥
岩手県の木工所から、スギの賃乾燥依頼をいただきました。
わざわざ岩手県から東京の新木場まで木材を運んできて乾燥させ、また引き取るというのは手間や費用、時間が掛かりますが、それだけの理由があります。
羽目板やフローリング以上に、建具材*1や造作材*2はしっかり乾燥させて使用しないと、あとからドアの建てつけが狂ってしまったり、窓枠に隙間が出来てしまったりします。
昔は建具、造作材は10年間以上もサン積みして天然乾燥させましたが、今では高温・中温の人工乾燥が主流です。木の風合いや艶、香りを大切にする木工所は、このような中温、高温の乾燥は嫌うため、わざわざ岩手県から材を運んでくるのです。
送られてきた板は製材したばかりで樹皮が付いたままなので、まずそれを剥して、オガクズを落とすことから始めなくてはなりません。
今回2度目のご依頼ですが、「やはり低温乾燥させた材は色艶が違う、寸法安定性に優れ、後からの狂いも少ない」とおっしゃっていただいています。
低温乾燥の良さを理解して下さる会社が全国に出てきたことは、とても嬉しいことです。
#04:黒心柱、乾燥中
腐りにくく、シロアリの被害も受けにくい黒芯材は、江戸時代から南房総などシロアリが多い地域では高級材として住宅などに使われてきました。
また、スギとしては硬く丈夫なこともあり、木造船の材料としても高く評価されていました。
しかし、未乾燥の状態では普通のスギの2倍以上の重さがあり、山林から切り出すのが大変でトラックに積める量も減ってしまうため、今ではその大半の丸太が山に切り捨てられています。
また、乾燥もしにくく、製材業者や住宅メーカーからも嫌われています。
写真の120ミリ角の黒芯の柱材は天然乾燥では10年かかっても乾かないと言われています。
しかし当社の低温乾燥機、愛工房では5~6ヶ月で乾燥出来ます。
木口に割れが入りにくいようにラップで覆って乾燥機に入れますが、その分、手間も掛かり、未乾燥の状態で製材工場から仕入れた時点では3メートルの柱1本で50kgもあり、体力も必要です。
乾燥を終えると重さは20kgほどに軽くなり、差の30kgもの水分が抜けたことになります。
この柱材を使えば薬剤処理に頼らなくても腐りにくくシロアリにも強い木造住宅が出来ます。
#03:愛工房から採れる水
低温乾燥機「愛工房」は壁、床、天井、全てが木でできており、中に入れた乾燥させる木材から出た水は、壁の板を伝わり中に入れたダンボールの断熱材を通し、さらに外部に張られた板から大気中に放出されます。
冬場の空気が乾燥した時期ならばそれで十分なのですが、梅雨から夏に掛けての時期は大気中の湿度が高いため、うまく乾燥してくれません。
そのために中を循環させる空気を暖めるときに、除湿装置を使って乾燥した温風を送り込むようになっています。
その時に取れた水はパイプを伝わり外に排出されますが、それすらも無駄に捨てることはありません。
消毒、精製をしていないので飲むことは出来ませんが、入浴剤としてお風呂に入れています。
体が芯から温まり、お肌もツルツルになります。
さらに残り湯は家庭菜園に撒いて、野菜を育てています。
根からの水分の吸収が良いのか、順調に育ってくれています。
#02:空気は買えない
私たちは、安全でおいしい水が飲みたいと思えば、スーパーやコンビニで買ってくることができます。
しかし、安全で健康的な空気が欲しいと思っても、買って手に入れることはできません。
家にいる間中、そこに住む人達はその室内の空気を吸わざるを得ません。
ほとんど1日中家の中にいる赤ちゃんにとって、室内の空気が健康的で安全なものでなくてはならないことは言うまでもありません。
大人に比べて体が小さく体力がない分、その影響は大きくなります。
大人でも寝室は寝てから起きるまで、ずっとその部屋の空気を吸うことになります。
室内空気環境は、建物そのものの耐震性、安全性と同様、極めて重要だということがお分かりいただけるかと思います。
当社が低温乾燥機「愛工房」を導入した理由の1つは、低温乾燥で乾かした木材は、加工して壁や天井の羽目板を作っても油分がそのまま残っているため、塗装する必要がないほどツヤがあり、手垢なども付きにくいからです。
塗装をしなければ、木は調温・調湿効果を失わずに呼吸し続け、室内の空気環境を保ってくれます。
中温、高温の乾燥でツヤがなくなったら塗装すればいいという安易な考えの商品は売りたくありません。
安心で健康的な室内の空気を作ることのできる内装材を、製造販売していきたいと思っています。